忘れられた木製ドア
スチール・アルミ・ステンレス・ブロンズ製等々、
様々な材質で作られている玄関ドアの中で、
「木製」の玄関ドアは、最も長い歴史を持ちます。
しかし、近年は鋼製ドアに市場を押され、
全体に占める木製玄関ドアの割合は、
わずか2%程になっていると言われています。
なぜ、木製玄関ドアは人々に忘れられていったのでしょうか。
そこには、ドアの開閉に影響するような変形等も、
「木製ドアだから仕方ない」とされ、
十分に改善されないまま使われてきた背景がありました。
そして、一体いつどんなメンテナンスをすれば良いか
当時誰も分からなかったのです。
鋼製ドアも変形する
玄関ドアのシェア約98%を占める鋼製ドア。
季節の変わり目に開閉不良を起こすこともない、
ストレスフリーな玄関ドアです。
ただ、そんな鋼製ドアも実は変形していることを
ご存知の方は、あまり多くありません。
湿気によって伸び縮みする木材に対し、
鋼製材は熱によって伸び縮みします。
例えば、夏場の西日を正面に浴びると表面が高温になり、
内外温度差で歪みが生じます。
鋼製ドアがストレスフリーに使用できるのは、
機能障害を起こさない(起こしにくい)工夫が
たくさん織り込まれているからこそなのです。
木製ドアも、変形と向き合う
「木製ドアだからカギがかからなくなる」
「木製ドアだから梅雨に扉が閉まらない」
そんなイメージが、今でも残っています。
実際に改良が進んでいないドアもあるかもしれません。
ユダ木工では、
・変形を最小限にするための木材乾燥管理
・将来的な変形をふまえた設計と調整機能
を考え、改良を重ねてきました。
木製ドアのための木材乾燥
木材の質には、木材乾燥技術が大きく関わっています。
乾燥の方法は様々で、樹種や用途に合わせた最適な管理が大切です。
自社の乾燥設備で厳密に管理した木材の質は飛躍的に向上し、
湿気による変形が大きく軽減しました。
ながく使える設計・安心の調整機能
長年木製ドアを作りつづけてきたユダ木工。
経験の積み重ねの中で生まれた様々な設計の工夫が、
今の製品に詰められています。
例えば梅雨時期に扉が重くなったとき、鍵のかかりが悪くなったとき、
微調整によって解決できる重要な仕組みがあります。
変形する素材と向き合い、様々な構造の工夫、調整機能等
製品改良を積み重ね続けていくこと。
木製玄関ドアの復権には、まずこれが欠かせません。
これからの木製ドア
木製ドアの特性には、優れた点がいくつもあります。
それは自然素材特有の風合いや、
経年変化の美しさばかりではありません。
このコラムでも、木製ドアの沢山の魅力を
みなさまにお伝えしていければ幸いです。
ユダ木工の願いは、木製玄関ドアへの信頼を回復し、
少しでも木製ドアが、再び私たちの身近な存在になっていくことです。
そのために、まだまだ製品改良を重ねていく必要があります。
これからも日々素材と向き合い、
高品質な木製ドアづくりに邁進してまいります。