第16回 廿日市漁民の森づくり が開催されました

16年目を迎える「漁民の森づくり」

「漁民の森づくり」という言葉をご存知でしょうか。

各地域で取り組まれているこの活動。ユダ木工の所在地である広島県廿日市市でも行われています。「広島西部ロハスの会」(代表・永本建設社長 永本清三様)が主催する「廿日市漁民の森づくり」第16回が、今年の秋、10月16日に催されました。

廿日市漁民の森づくり第16回の風景

「廿日市漁民の森づくり」は、植林・伐採体験を通して、人と山との関わりについて学ぶイベントで、地元企業の協賛の元行われています。毎年開催されるこのイベントは今年で16年目を迎えました。

毎年、子供から大人まで幅広い年齢の人びとがこの山に集い、私たちの暮らしにとても重要だけれど関わる機会が減ってしまっている「私たちの森」に触れ、学びます。

 

牡蠣は森が育てる?

「漁民の森づくり」は宮城県気仙沼の「牡蠣の森を慕う会」という、漁師による森づくり活動から始まりました。森づくりなのに「なぜ牡蠣?」「なぜ漁師?」と思われるかもしれません。

広島もまた牡蠣の名産地のひとつですが、牡蠣は海水と川の水の交わる場所(汽水域)で育ちます。川のない海では育ちません。牡蠣に必要な栄養は、森から川にのって届いています。

森・川・海はひとつ。汽水域に育つ牡蠣の図

そして水をたくわえて濾過(ろか)し、綺麗な川、綺麗な海を日々守っているのもまた、森なのです。(昨今は土砂災害が深刻な社会問題となっています)

海と川と森はひとつながりで、切っても切り離せません。豊かで綺麗な海を守るために、山の環境を守る必要があります。そうして始まったのが「漁民の森づくり」でした。

宮島と瀬戸内海と森

(山に囲まれた豊かな瀬戸内海と宮島)

 

第16回廿日市漁民の森づくり レポート

植樹したオニグルミの苗木に、目印のリボンを結ぶ

今年は広葉樹のオニグルミを植樹。この木が育つと、クマの好物のクルミの実が成ります。苗木には、下草刈りの際に見失わないための目印としてリボンを結びました。

廿日市漁民の森づくり 昨年の植林場所

昨年の植林場所

廿日市漁民の森づくり第16回の風景

伐採見学のようす

廿日市漁民の森づくり第16回の風景

 

豊かな森・川・海を守るために

植林・伐採体験の後は、「海」を代表して地御前漁業協同組合 代表の峠(たお)様から、そしてこの「廿日市市栗栖の山」を管理されている松浦林業有限会社 社長 松浦様からのお話がありました。

代々 地御前かきの養殖に携わり、海とともに生きてきた峠様。「森・川・海、どれかひとつ欠けるだけで、私たちが生きていくことは難しい」と、経験からも強く実感しておられ、次の世代のさらに次の世代へと受け継がれていく海の仕事への深い愛を感じました。

松浦様もまた、代々 山の仕事に携わってきました。「私が伐採する木は、私の祖父が植え、父が育てた木。林業はとても時間のかかる仕事なのです」

良く手入れされている森は明るい

(よく手入れされている森は明るい)

 

ユダ木工とヒノキの16年。そしてこれからの木製ドアづくり

第16回廿日市漁民の森づくり。16年。それはユダ木工が「国産ヒノキの玄関ドア」の開発を始めてから今に至るまでの期間とちょうど同じです。当時、外国産材でドアを作ることが当たり前だった時代に、国産材ドア構想のきっかけをいただいたのが、まさにこの「漁民の森」の取組みでした。

ユダ木工ではヒノキを丸太1本分まるごと仕入れ、通常は捨てられる木の皮も全て引き取っています。皮は屋上で乾燥させ、チップに粉砕して蒸気式木材乾燥機のボイラーの燃料として使っています。(このおかげで、昔は大量に必要だった灯油を買わなくてすむようになりました)

端材を有効利用した木材チップ。

「人が離れ、山が荒れている」そのことを目の当たりにした2005年。日本の山の木を使って、国産材の高性能な木製ドアをつくりたいと、ユダ木工はそのとき強く思い、今に至ります。

木材を通して、そして漁民の森づくりを通して、森・川・海に携わる様々な人にお会いするたびに、森に堂々と立つ木に触れるたびに、この大切に育った木を少しも無駄にしないように、良い木製ドアを造っていきたいと切に思います。