木製玄関ドアに謎のささくれ跡
木製玄関ドアに謎のささくれが… と、1件のお問合せをいただきました。
長年木製ドアを製造しているユダ木工ですが、
社内の誰も、このような現象は今まで見たことがありません。
規則正しく並んだ、小さなささくれ跡。
塗装後に付いたものと見受けられるので、
何かをひっかけた傷か、もしくは鳥などの生き物がつけた跡でしょうか。
木材に詳しい知人に訪ねても、誰も知らないようでした。
発見!意外な犯人
広島市森林公園こんちゅう館に問い合わせ、写真を見ていただいたところ
なんとこれは「クマゼミの産卵跡」なのだそうです。
等間隔で千鳥状に並ぶ特徴的な形から、
ほぼ間違いないでしょう、とのことでした。
本来はサクラやセンダンの枯れ木を好むクマゼミですが、
外壁や支柱、ウッドデッキなどを選ぶ場合もあるといいます。
ふ化すると一旦外へ出て、地中へ移動するようです。
身近な生き物なのに、どのように生まれるのか知りませんでしたので、今回は大変な驚きでした。
でも、できれば玄関はやめて、他の場所を選んでいただきたいものです。
クマゼミはなぜ、どこから来たのか?
ところでクマゼミといえば、
かつては九州地方など温暖な地域特有の生き物でした。
しかし、今回ささくれ跡が見つかった現場は近畿地方。
本来九州地方に生息するクマゼミが、近年徐々に北上し、
西日本に広がり、さらには関東でも増えているといいます。
その原因のひとつとして、温暖化の影響が考えられています。
また、とくに都市部で増えているとも言われています。
いつのまにか変わる風景
昔はここ中国地方でも、クマゼミを見ることはほぼありませんでした。
夏休みの子供たちのセミ採りの風景にいたのは茶色いアブラゼミばかりだったのですが、
いつのまにかクマゼミに変わっているようです。
夏の風物詩であるセミの鳴き声も、やはり変わりました。
こんちゅう館の方のお話をもとに、公園の木の支柱をチェックしに行きました。
これまで全く気が付きませんでしたが、確かにあのささくれ跡があります。
ものすごく沢山あります。玄関ドアの比ではありませんでした。
アブラゼミはクマゼミほど鋭い産卵管を持っていないそうなので、
これもまた、いつのまにか変わっていた風景のひとつということです。
気候変動の影響を目の当たりにしているように感じました。
他、参考リンク
https://owners.saelahomes.com/soc_post/614/ (デッキの支柱にクマゼミ)
http://blog.livedoor.jp/hattamatahati/archives/38295924.html (桜の木の支え木にクマゼミ)
https://www.discoverydensen.jp/hakken/010.html (クマゼミと光ファイバー)
http://www.zoology.or.jp/news2/index.asp?patten_cd=12&page_no=652(クマゼミと温暖化)