安成工務店 見学レポ 中編~技と工夫が光るプレカット工場~

前回のコラムでは、安岡ヒルズの安成工務店のおしゃれな住宅に訪問した気づきをブログにまとめました。その住宅で感じた居心地の良さがどのように形作られるのかをより詳しく知るために、次は安成工務店・株式会社デコスの山口工場「そーれきくがわ」を見学します。
「そーれ」はイタリア語で「太陽」という意味だそうです。お天気に恵まれ、下関のそーれを感じながら、やって来ました。

 

“ひと”の手で木を刻む、プレカット工場

まず敷地に入って右側の安成工務店のプレカット工場を見学します。プレカットとは、木造建築において、現場施工前に原材料を切断したり、加工を施しておくことを指します。

機械が整然と並ぶプレカット工場を想像していたのですが、安成工務店の工場の中に入って真っ先に目に飛び込んだのは、木に向き合う職人たちの姿でした。そこは職人が木と語り合うような近さで仕事をしている、昔ながらの手刻み場を思わせる作業場です。

機械化、オートメーション化が進んだ今でも、機械だけに頼らず人の目と人の手で寸法通りに木材を加工します。特に図面からその場所に適した部材を選び、木に寸法を書き込む「墨付け」は知識と経験が必要な責任のかかる仕事で、初めて墨付けを行った日はその夢を見るほどだそう。経験と技術をもった職人の手によって、それぞれの木が持つ一本一本の個性に合わせた加工を行うことができます。

「墨付け」の後は、オートメーションでは難しい複雑な加工を職人の技で繊細に仕上げ、他方、機械での加工が適している工程では機械を使うことで、丁寧に効率的に加工します。

その工程でどうしても発生してしまう端材を地域循環に役立てる工夫があります。
「そーれきくがわ」で発生した端材をペレットに固め、安成工務店の住宅現場の残木材と共に、前編のブログでご紹介した安岡ヒルズの近くに建設されている安岡エコタウンの地域集注冷暖房の燃料にしています。安岡エコタウンでの必要量を超えたペレットは一般向けのペレットストーブの燃料としても活用されています。

 

陰ながら家を支える木、その舞台前

工程の最後に、仕上げられた木材は一棟ずつまとめられます。山の高さは自分の倍以上もあって壮観です。ある山を数えてみると約300本の木材が積まれていました。住宅は大きい木材だけで組んであるイメージがあったのですが、それぞれの木材は、長さや大きさ、接合部の加工もばらばらで普段住んでいる家の中はこうなっているのかと驚きました。初めて見ることのできたプレカットの工程から、家を支える力強い木材と繊細な職人による加工の2つが私たちの暮らしを陰ながら守ってくれていることを感じました。

 

見学者に寄り添う、伝わりやすさの工夫

私たち工場見学で真似したい、安成工務店の工場見学の伝わりやすい工夫がいくつも見つかりました。

1. 機械の音があっても聞こえやすいインカムを利用していたこと
2. ドアを造っているユダ木工社員も「そうなんだ」と学びになる木材に関するクイズがあったこと
3. どの機械のことを説明しているか分かりやすいように機械にマークが貼ってあったこと
4. 補助資料として立て看板・手元の資料が用意してあったこと
5. 実際に触って、どのように加工されたかを体験できるコーナーがあったこと

安成工務店プレカット工場見学では木の香りや加工の音であふれる工場で様々な実感を通して職人の仕事を体感できました。たくさんの職人の努力と技術と想いがあって、私たちが安心して生活できる家が建てられています。その家にどのような仕事が関わっていて、どれくらいの愛情が込められているかを知ると日々の暮らしが、住んでいる住宅が輝いて見えるかもしれません。

 

取材協力
株式会社安成工務店山口工場 そーれきくがわ様

 

参考
安成工務店 社長ブログ『ペレット製造』
https://www.yasunari-komuten.com/blog/pellet_product.html