住宅性能の専門家、気密測定士の卜部さん。
後編では住宅性能と快適性の考え方について、お話を伺います。
自分にとって快適な室温を知っていますか?
卜部さん:暖かい家・寒い家というのは感覚的な表現です。室温が何度になる家なのか、と考える方が行き違いがありません。人によって快適な室温は違うからです。あらかじめ自分が快適に過ごせる室温を知っておくことをおすすめしています。
そして室温だけでなく、体感温度には「放射」も大きく影響しています。
放射
壁や床が体温を奪わない。快適さに大きく影響します。木は熱を伝えにくい素材なので、無垢フローリングは足元が年中快適です。
G2・G3 暮らしの違い
卜部さん:この自宅は同じ工務店で並んで2棟建てたうちの1棟です。住宅性能はこちらがG2、隣はG3です。
住宅性能 表
卜部さん:構造の一番大きな違いは、断熱層です。こちらが外断熱のみ。隣は内断熱+外断熱です。
図
ユダ木工:室温は変わりますか?
卜部さん:この2棟の室温は、実は変わりません。では何が変わるかというと、電気使用量です。
同じ設定温度でエアコンを運転させたときに、必要なエネルギーが全然違うわけです。この2棟の場合は、電気代が月平均で1万円、つまり年間で12万円ほど変わります。
C値1.0、C値0.3の暮らしの違い
ユダ木工:指標としてC値1.0以下、C値0.3以下、という数字をよく目にします。
卜部さん:断熱性能・気密性能どちらも、大切なのはバランスです。理想とする住環境づくりのために何が必要で、どこにコストをかけるのか。住宅の造り手がそれぞれ自分の基準を持つべきだと思います。
寒い地域であればわずかな隙間風をとても寒く感じることもあります。
この地域では、C値1.0以上になるとスリッパが必要になるでしょう。
断熱・気密リノベ、どこから
限られた予算の中で、どこにお金を使うか。
断熱・気密を考えるときは、
気球を思い浮かべてください。
穴が開いていると、暖めた空気が出ていき、気球はしぼんでしまいます。
暖かい空気は上から逃げようとします。
屋根
暖かい家・寒い家というのは感覚的な表現です。
人によって快適な室温は違う、というところに落とし穴があります。
室温
あらかじめ、自分が快適に過ごせる室温を知っておくといいです。
そして室温だけでなく、体感温度も大事です。
放射
壁や床が体温を奪わない。快適さに大きく影響します。